アールワン日誌 Blog

「年収の壁」問題から従業員のキャリアプランやライフプランを考える。

2024/11/15

「年収の壁」問題から従業員のキャリアプランやライフプランを考える。 - 社会保険労務士法人アールワン | 東京都千代田区

こんにちは。東京都の社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、大学の友人の結婚式に参加してきました。会うのは久しぶりでしたが、すぐに学生気分に戻った気持ちになりました。式の最後は感極まり、号泣してしまいましたが、幸せな空間を味わえました。

昨今、「年収の壁」といった言葉がニュースや新聞記事で飛び交うようになりました。その際に「103万円の壁」「130万円の壁」と色々な壁があり、「分かるようで分からない」「自分にはどんな影響があるんだろう」と感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今月は「年収の壁」について、お伝えします。

 

企業の経営者・担当者さま

「もっと詳しく知りたい」「今この件で困っている」そのようなときには、こちらよりご連絡ください。

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1.「103万円の壁(所得税の壁)」

収入が103万円を超えなければ所得税は発生しません。また、配偶者やご両親の被扶養者になることで、扶養者の所得税も軽減されます。そのため、この「収入103万円」以内の働き方を選択される方が多く存在します。このような働き方をすることで所得税の軽減措置を受けることができますが、以下の点に注意が必要です。

・非課税の通勤手当は含まれない。
・配偶者は、103万円ではなく150万円までが上限となる。
・年金収入も注意が必要。ただし、障害年金や遺族年金等は非課税のため、対象外。

この103万円の範囲が、会社から支給される「扶養手当」の条件になっていることがあります。そのため、これを超えてしまうと所得税の軽減措置が受けられないだけでなく、手当が減額されてしまう場合があります。

また、住民税は「100万円」を超えた場合に発生します。そのため、100万円超103万円以下の範囲で働いた場合、所得税は発生しませんが、住民税が発生することになります。

 

2.「106万円の壁(社会保険の壁①)」

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2024年10月から、51人以上の会社では短時間で働く労働者も社会保険に加入することが義務付けられました。この社会保険の加入となる基準が「106万円の壁」と言われます。短時間労働者が社会保険に加入する要件の一つとして「月額88,000円以上の収入を得ていること」があります。年間計算すると1,056,000円となるため、106万円を超えるとご自身で社会保険に加入する必要があり、保険料の負担が発生します。

 

3.「130万円の壁(社会保険の壁②)」

働く会社の従業員数に関係なく、130万円を超えるとご自身で社会保険に加入する必要があります(「社会保険の壁①」に該当する場合を除きます)。この場合、会社が加入する社会保険ではなく、国民年金及び国民健康保険に加入します。会社が加入する社会保険は会社が保険料の半分を負担してくれますが、国民年金や国民健康保険は全額自己負担となります。

 

今後、この「年収の壁」問題を改善するため、基準となる金額の上限の引き上げや国民年金の第3号被保険者制度の撤廃等が検討されております。税金や社会保険料が発生しないように、働き方を制限することも一つの考えです。ただし、ご自身の思い描くキャリアプランやライフプランを考え、それを実現するための働き方をすることも重要ではないでしょうか。

従業員が制度を正しく理解できれば、今より働く時間を増やそうと思う方もいるかもしれません。アールワンでは従業員向けの勉強会なども行っていますので、ぜひお声掛けください。

 

企業の経営者・担当者さま

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笹沼 瞬(ささぬましゅん)のイメージ

執筆者

社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。