「パートさん」のイメージはもう古い?パートタイム労働法が改正されますよ。
2014/10/06
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。
さて、あなたの会社には、「パートタイム」で勤務されている方はいらっしゃいますか?
現在の日本において、パートタイム労働者は全労働者の「4人に1人」となりました。また、そのなかでは正社員と変わらぬほど(あるいはそれ以上)の重要な役割を日々担っている人も増加してきています。ひと昔前に「パートさん」という言葉が連想させたイメージは、今の現実とはマッチしないかもしれませんね。
そのような状況をうけて、パートタイム労働者の待遇の確保を目的とした「パートタイム労働法の改正」が平成27年4月1日に施行されることとなりました。
具体的にどのような内容なのか?企業として行うべき対応は?といった点について、今回はお伝えいたします。
パートタイム労働法のおもな改正内容
来年4月における主な改正内容は以下のとおりです。
① 「正社員との差別的扱いが禁止されるパートタイム労働者」の対象範囲が拡大
② パートタイム労働者に対する不合理な待遇差別を禁止
③ 雇い入れ時の雇用管理の改善措置の内容説明、および相談窓口の設置を義務化
④ 違反事業主名の公表および虚偽報告をした場合の過料(20万円以下)ルールの新設
今回は、このなかでも特にチェックしておくべきの①と②について説明いたします。
「① 正社員と差別的扱いが禁止されるパートタイム労働者」について
もともとのパートタイム労働法では
「正社員と職務内容や人事異動の範囲・有無が同一である場合、正社員との差別的扱いが禁止」
となっていますが、これまでは「有期契約労働者」は対象外でした。しかし、今回の法改正により、今後は「有期契約労働者も差別禁止の対象」となります。
具体的には、「賞与や退職金においても相違があってはなりません」ので、企業への影響は非常に大きなものになります。
そのため、今後は「この人は、正社員と同等の職務内容(および待遇)であるべきか?」を改めて検討した上で、もしもそうでない場合であれば「職務内容や人事異動の範囲・有無」について正社員との間に明確に線を引くことが必要といえます。
「② 不合理な待遇差別の禁止」について
今回の改正では、正社員と「同等ではない(職務内容や人事異動の範囲・有無について)」パートタイム労働者であっても、不合理な待遇差別を禁止しています。
※厚生労働省では不合理な差別の例として「通勤手当の支給」や「福利厚生施設の利用」を正社員にのみ限定している場合などをあげています。
とはいえ、そこは「正社員と比較して、職務内容や人事異動の範囲・有無がどれくらい異なるか?も勘案した上で」となっています。相違があることに合理的な理由があれば必ずしも違法になるわけではありません。もしも特段の理由がないのであれば、もちろん見直しが必要になります。
それでは、企業に求められる対応とは?
ここまで見てきたように、企業にとって今回の法改正はかなり影響が大きいと言えます。まず対応すべきことは、「現状の把握」であり、そのうえで今後の待遇について検討をする必要があります。
1:自社において、「正社員と同視すべきパートタイム労働者」(A)がいるかを確認する
▼
2:上記「Aのパートタイム労働者」と、「それ以外のパートタイム労働者」(B)の待遇を
別々に検討する
(呼び方も別にわけて管理し、就業規程も別々にするのが望ましいです)
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3:「Bのパートタイム労働者」の職務範囲・転勤や職務変更の有無などを明確化する。
そして「正社員と違う部分」について洗い出して、内容が不合理でないかを確認する
(労働者から説明を求められた時に備え、準備をしておく必要があります。)
以上となります。
今後、働き方の多様化が一層進むことが予想されており、パートタイム労働者をどのように活用していくかは企業にとって重要な課題のひとつです。
この法改正を機会に、今後の自社にとってパートタイム労働者とは「どのような存在であるべきか」「どのような働き方であるべきか」を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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