別れ話は最後の最後に。そして、それでも別れなければいけないときは。
2014/10/28
こんにちは。社会保険労務士法人アールワン代表の高澤(たかさわ)です。ここ数日、りんごとブルーチーズを一緒に食べることにはまっています。
「やめてほしい従業員がいるんですけど」と、お客さま企業からご相談を受けることが多々あります。
その際に、社労士として私が通常やるべきこととして、
*解雇の理由や、その判断に至るまでの経緯が明確でなければいけない
*解雇時の予告や予告手当が必要である
*就業規則の解雇の条に該当する理由がなければいけない
*解雇を回避するために、これまで会社側が相応の努力を払っていないと不当解雇となる
などといったことをお客さまにお伝えしていきます。これは、ごく一般的なことです。
「あの一言がなければ・・・」
しかし、そこで、またまた苦い記憶が蘇ってまいります・・・。
何年も前のことです。お客様の会社に営業職で入社した試用期間中の男性が、試用期間満了のタイミングで解雇となりました。
その方は、「解雇は無効である」として外部の労働組合に加入しました。そして、お客さまの社長と私でその団体交渉にあたったときのことです。
交渉の場で感情的になられた社長が、解雇となったご本人を含む皆の前で、禁断の一言を放たれました。
社長「能力のない人間の首を切って何が悪い!」
私 「(!!!・・・言ってしまった・・・)」
その一言を止められなかった私は、その場にいながらして、役立たずだったと思います。
結局、団体交渉では解決せず、東京都の地方労働委員会まで行き、社長と弁護士さんと東京都庁に3回通って、ようやく和解に至りました。
「あの場での、あの社長の一言がなければ、ここまでやろうとは思わなかったです」
という、そのときのご本人の言葉は、未だに心に残ります。
問題も責任も、自分にあるのだと。
「別れ話になったときに、相手を責めない・非難しない」ということは、労働法にはどこにも書いていないけれど、それ以上に本質的なことなのではないでしょうか。その人を選んだ責任があるのだと思えば、できることならば、いつでもそうありたいと思います。
そこで、
「そのような立派なことを言うあなたの事務所では、従業員を辞めさせたことはないのですね?」
と私も聞かれることでしょう。
はい、残念ながら、あります・・・。その当時はそれ以外の手段が無いと思って、頭を下げて辞めてもらいました。
今になって思えば、自分の器が小さくて相手を受け入れることができなかった、むしろ問題は自分にあったのだとわかります。もっと他の方法はなかったのかと思うと、今でも心の奥に小骨が引っかかっています。
まずは経営者として、人を選んだ側としての責任を、最後の最後まで全うできる自分自身でありたいです。そして、同じ気持ちで日々お客さまの労務問題にともに取り組んで行きたいと思っています。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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