「障害者雇用率制度」と、障害者雇用の2つの助成金をご存じですか?
2014/12/10
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。
平成27年4月に「障害者の法定雇用率を達成していない常用労働者数100名超の企業に、新たに納付金の義務が発生する」という法改正が行われるのはご存じですか?
昨今では、障害者の方の就職率は増加傾向(外部リンク)ではあるものの、「法定雇用率」や「納付金」といったキーワードが耳慣れない方もまだ多いのではないでしょうか。
そこで今回は「障害者の方の法定雇用率と助成金」について説明いたします。
法定雇用率とは?
「障害者雇用率制度」により、従業員数(※)が50人以上の会社は、最低でも総従業員数の「2.0%以上」の人数の身体障害者・知的障害者の方を雇わなければなりません。
※雇用保険被保険者で、一年を超える雇用見込みがある者。
例えば、従業員50人の場合ですと「1人」の雇用義務となります。ただし、人数のカウント方法には下記のルールがあるので注意が必要です。
・短時間労働者は、1人あたり「0.5人」としてカウント。
・重度身体障害者、重度知的障害者は1人あたり「2人」としてカウント。
・ただし、短時間の重度身体障害者、重度知的障害者は「1人」としてカウント。
※ 精神障害者は、雇用義務の対象ではないが実雇用率の算定時に障害者数に算入できる。
達成していない事業主に対しては、管轄のハローワークから雇入れ計画の作成命令が出されます。そして、もしもその命令内容を実施できなかった場合には、ウェブ上で企業名が公表されてしまいます。
さらに、「法定雇用率を達成していない」&「常用労働者数(従業員数と同意)200名超の企業」は、不足人数一人あたりにつき、月額5万円の納付金が課せられます。
厳しい内容と感じられますが、反対に「法定雇用率を達成している」場合には、下記のような条件で「調整金」が支給されます。
「200名超の企業」の場合
>>障害者雇用の超過人数一人あたりにつき、月額2万7千円が支給されます。
「200名以下の企業」の場合
>>常用労働者数の4%、又は6人のどちらかを超えた人数に応じて、一人あたり月額2万1千円が支給されます。
冒頭でお伝えした平成27年4月の法改正は、納付金・調整金の「200名」という基準が全て「100名」になるということです。
障害者雇用の助成金
雇用率未達成時のペナルティが強いと感じられる障害者雇用ですが、雇用した企業が申請できる助成金が2種類あります。
これらの助成金には共通の申請条件があります。その最低条件は
「ハローワーク等の紹介によって雇用すること」
「最低でも2年以上、継続して雇用する見込みのあること」
です。
また、今回紹介する2種類の助成金は併給(同時に申請・受給すること)が可能です。
(1)特定就職困難者雇用開発助成金
<申請条件> 障害者雇用を実施すること
<支給内容>
( )内は中小企業(※1)事業主に対する支給額および助成対象期間です。
※1 「中小企業」の該当条件はこちらでご確認ください(外部リンク)。
※2 「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が20~30時間未満の者です。
(2)ファーストステップ奨励金
<申請条件> 過去に障害者雇用の経験がない50人~300人規模の中小企業が障害者雇用を行い、その後の3ヶ月間で法定雇用率を達成した場合
<支給内容> 支給対象期(6ヶ月)経過後に120万円を支給
いずれも、決して小さくはない規模の助成金となっておりますので、条件に該当するようであれば確実に活用していきたいところです。
障害者雇用というと、敷居が高いイメージもあるかもしれません。しかし、障害者雇用の第一歩として、これらの助成金も視野に入れていきながら、まずはハローワークに求人を出してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
140社の人事労務をサポートする、東京都千代田区の社会保険労務士法人アールワンが提供。人事労務ご担当者の方の実務に役立つ情報をお届けします。
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