国の「長時間労働対策」の取り組みが本格化しています。
2015/01/30
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの西嶋(にしじま)です。サッカーのアジアカップで日本が敗退してしまったことが残念でなりません・・・。
2014年12月に厚生労働省が、2015年1月から新たに取り組む「長時間労働対策」を発表しました。2014年の11月にも「過労死等防止対策推進法」が施行されており、いよいよ国が本格的に長時間労働の撲滅に動き出したといえます。
では、その「長時間労働対策」の具体的な内容はどのようなものでしょうか?
1.月100時間超えの残業が行われている事業場等に対する監督指導の徹底
①時間外労働時間数が1ヶ月100時間を超えていると考えられる事業場
②長時間に渡る過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場
上記を対象とした、労働基準監督署による監督指導(立入調査)が今後徹底されます。その結果、違反や問題等が発覚した事業場は、是正勧告書によって指導されます。
もしも、法違反を是正しない事業場があった場合には、書類送検も視野に入れた対応がなされるようです。(送検された場合には企業名も公表されます)
2.インターネットによる情報監視
厚生労働省が独自にインターネット上の求人を監視、収集し、その情報を労働基準監督署による監督指導に活用するとのことです。
「高収入を謳う求人」や「繰り返し出ている求人(人材が定着しない疑い)」など、長時間労働が疑われる求人案件は監督指導のデータとして参照されることになります。
3.メンタルヘルス対策の強化
メンタルヘルスとは、いわゆる「心の健康」のことであり、長時間労働による健康被害対策の一環といえます。
・「ストレスチェック制度」(※)の周知
※労働者50名以上の事業所に対し、ストレスチェック実施を義務付けたもの。改正労働安全衛生法により平成27年12月から施行。
・ストレスチェック及び面接指導を行う医師、保健師に対する研修
本当の問題はどこにあるのでしょうか?
以上3点、厚生労働省の長時間労働対策のポイントを見てきましたが、長時間労働やメンタルヘルスという言葉を聞いて思い出すのが、私が以前働いていた職場での出来事です。
私の先輩のひとりが、取引先でのクレーム対応が重なり、一時的に仕事の負荷が増えていました。2~3ヶ月の間、その状態が続いたところ、取引先と社内で行き場が無くなり、ある日を境に会社に出勤できなくなってしまいました。病院での診断結果は鬱病で、3ヶ月の休職をすることに。(その後、休職を経て職場復帰できました)
その当時の私は、そんな先輩に対して「大丈夫ですか?」の一言をかけたのみでした。
今振り返ってみれば、あの時にもっと他に出来たことはないのかと考えてしまう自分がいます。そこまで体調を崩す前に、周りからもっと声を掛けて、サポートできることがあったはずだと。
現在、長時間労働やメンタルヘルスが大きな社会問題となっています。そこで、国が求める基準を下回るように業務改善等を行うことはもちろん大切です。しかし、そもそも「困っている人がいれば声をかけあって、助け合える」、そのような風土が無い職場なのだとすれば、そのことのほうが問題ではないでしょうか。
近年、様々な職場で人手不足で厳しい状況ではあると思いますが、そのような余裕が無いときこそ、職場の風土を見つめなおすべきなのかもしれません。
社会保険労務士法人アールワン 西嶋 一樹(にしじまかずき)
サッカーと水泳が好きな37歳です。担当しているクライアントのほとんどが100人未満の中小規模の会社様ですので、大企業とは異なるスタイルでの人事労務のリスクマネジメントに腐心しています。お客様の要望に迅速に対応できるよう、日々精進していきます。週末は家族と一緒に近所を散歩するなどしてリラックスして過ごしています。
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