「男女雇用機会均等法」が2014年に改正施行されているのはご存知ですか?
2015/03/10
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの笹沼(ささぬま)です。先日、「自宅で味わうおやつ本」を衝動買いしてしまいました。いつか自分でプリンを作ってみたいと思っています!
「男女雇用機会均等法」といえば、もうずいぶんとなじみのある言葉です。「何をいまさら」と思われるかもしれませんね。
しかし、それがつい昨年の2014年7月に法改正のうえ、施行されているということはご存知でしたか?
今回の記事では、新しい男女雇用機会均等法について「改正されたポイント」や「均等法に違反する事例」をご紹介します。
均等法改正のポイント4点
2014年の改正のポイントをまとめると大きく4点となります。
1 「間接差別となり得る措置」の範囲の見直し
これまでは「総合職」以外の募集・採用において、「転勤可能であること」を採用要件とすることは「間接差別」として禁止されていました。しかし、今回の改正でさらに下記の変更・追加がされています。
・「総合職」も禁止の対象に
・昇進や職種変更にあたっても合理的な理由がなければ禁止
2 性別による差別事例の追加
性別を理由とした差別の事例として、下記が新たに性差別指針に追加されました。
・結婚していることを理由に職種の変更や定年の定めについて男女で異なる取扱いをしている
3 セクシャルハラスメントの予防・事後対応の徹底等
セクシャルハラスメントの予防や、被害者に対する事後対応の望ましい例として、下記がセクシャルハラスメント指針に追加されました。
・管理監督者または事業場内の産業保健スタッフなどによる被害者のメンタルヘルス不調への相談対応
4 コース別雇用管理についての指針の制定
新たに
「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」
が制定されました。
これは、会社によって定められたコース(例えば一般職や総合職など)の新設・変更、人材募集や採用・配置、その他の昇進・職種の変更など、それぞれにあたって留意すべき事項が規定されています。(詳細は割愛いたします)
以上の4点が男女雇用機会均等法の改正内容のポイントとなります。
改正の要旨を一言でお伝えすると
「合理的な理由」が明確にない制度や運用は、均等法違反となる可能性が従来よりも強くなった
といえるでしょう。
均等法違反になる事例は?
もっと具体的にイメージするために、今回の改正により「均等法違反となる事例」をいくつか挙げていきます。
(1) 求人募集や採用時、または昇進や職種変更のとき
□ 「結婚予定の有無」「子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無」「転勤の意思の有無」などは男性には聞いていない >> しかし、女性には聞いている
□ 支店は広域展開しているものの、実際には転居を伴う転勤の実態がほとんど無い >> しかし、転勤に応じられることを採用の要件にしている
□ 荷物運搬業務の募集にあたり、実態は設備や機械等が導入されていて筋力を要さない >> しかし、「体力に自信がある人」を募集要件としている
(2)業務内容など処遇について
□ 男性には通常の業務のみに従事させている >> しかし、女性には通常の業務に加えてお茶くみや掃除等の雑用を行わせている
□ 男性には妻の収入に関係なく家族手当を支給している >> しかし、女性には夫が扶養控除対象限度額を超える収入があれば支給していない
□ 社宅の貸与をしている >> しかし、女性についてのみ、婚姻を理由として対象から外している
以上となります。
いくつかの事例を挙げましたが、他にもさまざまなケースがありますので、近しい状況が自社にあれば、一度は社労士事務所に相談されてはいかがでしょうか。
「長年の慣習だから」というだけで設けている条件は、今後はそれ自体がリスクになりえます。「その条件は本当に必要なのか?」を今回の法改正を機にぜひご検討ください。
社会保険労務士法人アールワン 笹沼 瞬(ささぬましゅん)
生命保険会社の営業職から転じて、入社13年目。担当クライアントの多くが社員100名以上の規模の会社様ということもあり、法改正の情報は特に早めにキャッチアップすることを心がけています。得意な分野の助成金・補助金申請はずいぶんと経験値が増えてきました。趣味でテニス(最近はインドアが多いです)をやっていますので、テニスやられる方はぜひお声かけください。
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