労働問題を防ぐ!面接時と入社時に、会社がおさえておくべきポイント。
2015/03/20
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの濵中(はまなか)です。プロ野球の開幕が待ちきれない今日この頃、今シーズンは毎月必ず東京ドームに応援に行きたいと思っています。
新たに雇い入れた従業員と会社の間で、労働問題が発生してしまうというケースが昨今増加しています。もちろん誰もがトラブルなど起こしたくないはずですが、それにも関わらず、事前の入社時に会社が適切な対応をしていなかったために防げなかったという問題は少なくありません。
今回はトラブルを未然に防ぐために、会社として注意しておくべき「面接時と入社時のポイント」をお伝えします。
1.面接時の注意ポイントは
①「病歴の確認」をしましょう
面接時の「これまでに大きな病気にかかったことがあるか?」といった病歴に関する質問はNG、と思われている方が多いようです。しかし、病歴の確認をすることは問題ありません。
例えば、従業員が入社前にも罹患していた病気が入社後に再発し、業務を遂行することができなくなったとします。そのような場合、もしも入社前の面接で本人に病歴に関する質問をしており、本人から「病歴なし」という(いわば虚偽の)申告を受けていたのであれば、その後の退職についての話し合いを会社は有利に進めることができます。
もし、口頭での病歴の確認に抵抗があるという場合には、エントリーシート等にアンケート項目を追加して、「過去3年以内に2週間以上の治療期間を要した病歴はありますか」などと尋ねる方法もあります。
②「時間外労働の有無と残業代」について説明しましょう
時間外労働の有無やそのボリュームが事前に想定していたものと大きく違った場合、トラブルになりやすいだけでなく、早期の退職につながってしまう可能性があります。時間外の有無については、求職者側からはなかなか聞きにくい事項ですので、あえて会社側からしっかりと説明することが望ましいです。
<重要> 『定額残業代』を採用している場合
また、時間外手当を定額で支給している場合には注意が必要になります。会社としては、「基本給に時間外手当を含んでいる」という認識でも、もしも求人募集時の要項において基本給の記載しかなかった場合には、その会社の主張は通用しません。時間外手当を含めた金額なのであれば、基本給部分と時間外手当部分を明確に分け、それが何時間相当なのかを採用時に明示しておく必要があります。
※定額残業代が法的に認められなかった場合の会社側のリスクは、こちらの記事をご覧ください!
2.入社時(雇用契約締結時)の注意ポイントは
①「能力不足による解雇」を視野にいれておきましょう
現在の日本では、会社側の「解雇」は非常に厳しく規制されており、特に能力不足を理由とした解雇はほとんどが認められません。しかし、本人の優れた能力を前提としたポジションの採用であった場合には、その要件を満たさない方を雇用し続けることは難しい、という会社の事情も当然あるでしょう。
そこで解雇を認められるためのポイントとしては「債務不履行」というキーワードが重要になります。つまり、「入社時に交わした約束に違反があったために解雇をする」というスタンスです。
例えば入社時に営業部長という地位を特定されたうえで、「年間売上○億円」という達成基準が雇用契約書の中に記載されていれば、それが達成できなかった場合に「債務不履行による解雇」が認められやすくなります。
②「誓約書の堤出」を必須としましょう
従業員の行為によって、会社が何らかの損害を受けてしまうというケースはありえます。そこで会社が従業員に損害賠償請求を行う場合には、誓約書の有無が重要です。特に最近では個人情報や企業のノウハウなどの情報流出が大きな問題となっているため、それを防ぐための記載は必須といえます。
(記載例)「業務の遂行に伴い、知り得た当社の機密事項、顧客情報について、在職中はもとより、退職後も一切第三者に開示または漏洩いたしません。」
そもそも問題を発生させないために
労働問題が発生する原因の多くは、事前に確認をしていなかった、事前に伝えていなかったということです。つまり、その背景にはすべて「コミュニケーション不足」という問題があるといえます。
労働条件全般の確認ももちろん必要ですが、会社が従業員に対してどのようなことを期待しているのか、自社の考え方や理念がどのようなものなのか、また、従業員が不満に思っていることは何なのか、などを徹底的に話し合ってみてください。会社と従業員が信頼関係を築いていくことができていれば、自ずとトラブルは少なくなるはずです。
社会保険労務士法人アールワン 濵中 伸介(はまなかしんすけ)
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