消費税10%は厳しいけれど、10年加入で年金が支給される制度は待ち遠しいところ。
2015/04/30
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。
先日、顧問先の従業員の方が61歳となり、老齢年金のご案内をしたところ、実は年金への加入期間が25年に達しておらず、まだ受給できないことがわかりました。中国から来日して15年。あと10年分も足りないのです。
そこで思い出したのは、「年金機能強化法」のことでした。
年金の受給資格期間を10年に短縮
年金機能強化法は、平成24年8月10日に成立し、同年8月22日に公布されています。この法律には、次のような年金の改善策が盛り込まれています。
老齢年金の受給資格期間について、これまでの25年を10年に短縮する。
受給資格期間とは、「保険料納付済期間と保険料免除期間」を合計したもので、老齢年金を受給するためには、この期間が25年以上あることが必要です。これを10年に短縮するというものです。
この制度が施行されれば、先ほどの従業員の方も老齢年金をもらえることなります。
しかしながら、この法律の施行は、消費税率10%への引上げが前提条件なのです。当初は平成27年10月1日から施行の予定でしたが、消費税率引き上げが見送られたことから、2年延期となり今のところ平成29年10月1日施行の予定となっています・・・。
10年に短縮されることによる大きなメリット
来日外国人にとってだけではなく、自営業者で年金加入を失念していた人や滞納者にとっても10年で年金をもらえることは年金加入や保険料納付を促進する有効な手立てといえます。
また、さかのぼって年金保険料の免除を受けたり、保険料を後納するという制度もありますので、加入期間が10年に満たない人にとっても、年金受給の道がぐっと近づくことになります。
例えば、先日お会いした会社経営者の方は、現在58歳の男性ですが、会社を法人化したのが5年前でそれまでは国民年金へは加入していませんでした。ということは厚生年金の加入歴が5年しかありません。
しかし、この制度のもとであれば、後納制度で未納となっていた過去2年間分について国民年金をさかのぼって納付したうえで、あと3年厚生年金に加入すると10年となり、老齢年金の受給の権利が生まれることになるのです。
※また、この年金機能強化法は従来2年間までしかさかのぼれなかった過去の未納期間についても、期間限定ではありますが、10年間さかのぼれるような特例を設けているとのこと。
消費税率が10%になるのは厳しいけれど、社会保障上は避けては通れない道・・・無年金者を減らすためにも必要な制度なのだとつくづく思っている今日この頃です。
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
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