5年以上勤めた契約社員が希望すれば無期契約に?その例外とは?
2015/05/20
こんにちは。社会保険労務士法人アールワンの高澤(たかさわ)です。
契約社員などの「有期契約」で働く労働者を「無期」に転換しなければいけないルールがあるのは、すでにご存知でしょうか?これが改正労働契約法によって創設されたのは2013年4月のことです。
しかし、その際に「これは定年後に再雇用した労働者も対象になるのか?」「有期のプロジェクト要員の従業員も対象者とすべきなのか?」などの多くの意見が出てきました。そこで、無期転換ルールについて(その対象外となる)「特例」を設ける「有期雇用特別措置法」が今年の4月から新たに施行されています。
ここでいう「特例」とはどのようなものでしょうか?特に、定年後の再雇用を検討・実施している場合にはチェックが必要です!
有期契約労働者の無期転換ルールとは
まず、ベースとなる「無期転換ルール」を確認していきましょう。
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたとき、労働者の申込みにより、当該有期労働契約が終了する翌日から、期間の定めのない労働契約に転換される
このルールの大きな特徴は、「通算して5年を超えている労働者からの申込みを事業主は拒絶できない」ことです。
なお、5年のカウントは施行日である2013年4月1日以後に開始された有期労働契約から対象となります。つまり、労働者からの無期転換請求が生じるのは、もっとも早いものでも2018年4月1日以降となります。
「特例」をみとめる有期雇用特別措置法とは
そして、「無期転換ルールの特例」(対象外となるケース)を認める「有期雇用特別措置法」が今年4月から施行されているのは先にお伝えしたとおりです。
その条件に該当する対象者、そして無期転換申込権が発生しない期間は次のようになっています。
(1)特例の「対象者」および無期転換の「申込権が発生しない期間」
①定年後に再雇用された者
⇒定年後引き続き雇用されている期間は、無期転換権発生せず。
②5年を超える一定の期間内に完了する業務に従事する高度専門職従事者(※)
⇒そのプロジェクト期間は、無期転換権発生せず。(上限10年)
(※)医師、弁護士、システムエンジニア等、高度な専門的知識・技術・経験を有する年収1,075万円以上が見込まれる者が対象。ただし、恒常的な業務に従事する契約社員等は対象外。
(2)特例の適用を受けるためには
「適正な雇用管理の措置に関する計画」について、企業が労働局へ計画を提出し、認定を受ける必要があります。定年後再雇用者と高度専門職の両方の適用を受けるのであれば、それぞれ別の計画の届出を行わなければなりません。
※「雇用管理措置の計画書」のイメージは以下リンク(PDF)の14〜17ページが参考となります。
特例の適用を受ける場合の注意点
適用を受けるためには、どのような雇用管理措置を行うか記入した計画書の提出と認定が必要だとお伝えしました。
しかし、実はそれ以上に重要なことは、対象となる従業員への周知です。労働局から計画の認定を受けていたとしても、そのことをもしも対象労働者へ十分説明していなかった場合には、労務トラブルに発展するリスクが大きいといえます。
ここでは、説明をしっかり行うことに加え、雇用契約書に明示するなど書面通知を行うことも重要です。
契約社員を雇用しているという状況に加え、これから特に多くなるのは、定年後の再雇用者について特例の適用を検討されるケースでしょう。ぜひこの機会に、無期転換ルールに今後どのように対応していくかを検討してみてください。
まとめ
今回のトピックについて、会社が取り組むべきこと
無期転換の「対象外」となる特例条件を確認
特例を適用されるため、労働局へ計画を提出して認定を受ける
特例の対象となる従業員に事前に十分な周知を
社会保険労務士法人アールワン 高澤 留美子(たかさわるみこ)
社会保険労務士事務所を開設して、歳月がたちました。最初の事務所は自宅の子ども部屋でした。お客様と本音でつながっている「パートナー」になれるよう、日々研鑽しています。モットーは「人間万事塞翁が馬」です。
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